
SAC Bros. Company
西宮船坂ビエンナーレ 2010
”豊かさ”と一言で表すにも 精神的に豊かな人と 経済的に豊かな人とが居ると思います。
私はそのどちらにも該当しない…残念な人間なので 今朝起きても体調が芳しくなかったのですが 家で静養するのも何かこう… 気が引けると言いますか。
同世代で、陶芸という同じ道を歩み 私なんかよりもっともっと頑張っている人は沢山居るというのに 自宅で静養だなんて…どうにも引け目を感じてしまうような… そういった、精神的余裕を持てない…ちいせぇ人間なので。 せめて何か、非日常的な体験をしようか。と思い立ち。
今日は鳥さんと一緒に兵庫県まで 西宮船坂ビエンナーレ 2010 を観に行きました。
どうもこんばんは。motomanです。
茅葺屋根の残る地域という事もあってか この案内板にも茅が葺かれていました。
ネット上に詳細な地図が無く…とりあえず総合案内所となっている
小学校へ向かう事にしました。
展示区域がかなり広いようで、どうやらすでに会場に入り込んでいたみたいです。
野外彫刻は、前に連れの搬入を手伝った際に行った事がある程度ですが
迫力ありますねえ。
”大きさ”という要素も軽視できません。
周りの風景と相反するような、無機的なフォルムとその色彩。 展示の仕方は、ただ正確に列を成しているわけではなく 波打っているように置かれてありました。
私はこういった系統が好みなようです。 手頃な大きさの物が…執拗に並べられている姿に感じるものがあります。
私もフタものを執拗に並べてみたいなあ。と思います。
1つは、白い土壁をスクリーンとし この地域に根付く踊りを淡々と流しているもの。 白い背景の前を、踊る人が横切る映像で 土壁の、フラットではないテクスチャに映し出された人々が どこか…幽霊のように見え、面白かったです。
もう1つは、クレイアニメのように
1枚1枚写真に撮ったものを繋げ、映像としているものでした。
身近な物を用い、それに光を当てる事で生まれる影を記録していました。
これは良かったですね。
どこにでもあるような身近な物を用い、センスだけで作品を作るというのは…
ちょっと私には難しいです…
これらがすぐに目に付くというのは 色彩の持つ力ですかねえ。 周りとは違った要素がそうさせるんだろうなあ。 でもそれが、ただの違和感であってはならないわけで。
マット質な色彩だったのが良かったのかもしれません。
おそらくこれがテカっていたら…”違和感”になっていたのかなあ。なんて思いました。
いや、しかし雨が降らなくて良かった…
出会う人に、半紙と墨汁で”生きろ”と書いてもらい それを集めては展示されているのだそうです。 発音すれば同じだけれど 文字にするだけで色々な表情が見て取れます。
私の書いた”生きろ”も展示してもらいました。
人の事は言えませんが…まあ2人とも…酷い字でした^^;
その形状があまりに気持ち良さそうだったので…
アゴを擦って来ました。
何とも…不気味な感じもします。
ただのタートルネックではなく
ジッパが着いている点が素晴らしいと思いました…
でも、ジュワッチは違いますよね。
やはりここは
アリアリアリアリアリアリアリアリアリでしょう。
地面には養土のような、じとっ。とした少し湿り気のある
所々に根のようなものが混ざりこんだ、パサついた土が敷かれてありました。
これがインスタレーションの魅力なんでしょう。 行為は特殊な事では無いわけですが 空間が違えばこれだけ感じ方が変わってくる点が 興味深かったです。
どういった空間と捉えたのか、筆舌には尽くし難いですが
半分眠っているような
悪くない疲労感のような物を感じたので
少し首をうなだれてみました。
空間をデザインするといった経験をした事が無いのですが
同じ作品を同じように並べても、ちょっとした事で非日常を纏う空気になったりするので
作品作りはもちろん、展示台だけでなく
”空間”というものをもっと意識すべきだな。と思いました。
その木人の視線の先には黒板。
( おそらく ) この作品を作る際に、作者が頭で考えた事・こういった表現に至った経緯などが
化学の授業のよう、沢山の単語が丸で囲まれ
その沢山の単語群が線で関連付けられています。
それを見て ああ。そうか。なるほど。と 第三者がそれを見て色々と考えているわけですから… 複雑です。
それらが枝葉を伸ばし、ぐんぐんと広がりを見せながら空に向かっていく様は
木をモチーフにしたのはそういう事かなあ?なんて考えました。
んん?と振り返ってみると 低い位置にブラ下がったミラーボールが1つ、広い家庭科室にあるだけでした。
理解不能だったので…コメントは書けません。
小学校の正門をくぐったあたりから、児童の歌声が聞こえていて ああ。そうか。今日は金曜日だった。と思っていましたが よくよく考えてみると…すでに廃校になっていたはずです。
会期中に歌を披露しているのだろうか。なんて考えていましたが 教室の前へ立ち、ようやくその解答を得る事ができました。
ドアの擦りガラス越しに見える児童の影。 中から流れてくるのは、先生と児童が楽しそうにおしゃべりをしながら歌を歌う声。 ところがドアを開けてみると… センサが作動し、音も児童の影も全てが止まり 中には誰も居ません。
ドアを閉めるとスイッチが入り また楽しそうな声が聞こえるという仕組みでした。
キャプションの横に書かれてあった説明には 懐かしい気持ちを思い出してください的な事が書いてましたが 怖かったです^^;
ああ。そういう事か。と仕組みを理解し 2度目にドアを開けると!
あの落書きされた校長が居たら…もっと面白…怖かったでしょう。
以上で屋内展示は見終え、あとは野外展示の続きです。
近くに棚田があるようで
パンフレットを見る限りでは、随分と大きな作品が待ち構えているようでした。
中にも何かあるようでしたので、入ってみました。
テーマは確か…”流れつく先”だったか…”受け入れる物”だったか…忘れました。
雨を効率良く遮る為の屋根を内向きに取り付ける事で
内部へ誘おう。といった感じだったと思います。
ビエンナーレが終わったらどうするんだろう…
燃やしてしまった方がてっとり早いだろうな…と思いました…
よく言いますよね。
そう言えば月を見上げたのは久しぶりだなァ。なんて。
そういった感覚でしょうか。
中へ入り、土の呼吸と匂いを感じてください。と書いてありました。 うん。土の匂い。
まあ…毎日土くさいところで作業しているので… 特にこれといった感動はありませんでした。
建築物としては小さ過ぎ、入りたいという感覚も起こりませんでしたし あまりに直球過ぎる嫌いがあり、もうちょっと斬新と言いますか 違った過程を経て、土というものを表現して欲しかったなあ。と思いました。 何様だ!っていう話ですけれどね。
とまあそんな感じで過ごした1日でした。 明日は窯出しと搬入です